オダサガ一人飯アーカイブス 小田急相模原グルメ

おいしいお店の紹介というよりは、オダサガ界隈で毎日の一人飯を失敗したくない方向けの内容です。

★★★☆☆ 超どローカル銘菓、その名も「辰街道」

とよだや 辰街道





【メニュー】辰街道
【価格】160円
【特徴】
オダサガの主要道路である行幸道路は、神奈川県の渋滞情報でおなじみなので県内でもそこそこ知られた存在だが、相模原市座間市の間を南北に貫いている道路の名前が辰街道であるということはオダサガ住民でなければ知らないだろう。
さらに、そんなマイナーな街道をモチーフにした銘菓があることはもっと知られていないだろう。
大昔はわからないが、今の辰街道は松などの大木も生け垣もなくどこにでもあるただの市道レベルの道にしか見えない(実際、辰街道は市道相模が丘6号線などいくつかの市道で構成されている)。
しかし、このありきたりな市道に「辰街道」という立派な名前が付いていることにもやもやしている人は多いと思う。そんなあなたにピッタリなお菓子だ。


▼栗の形がかわいい



▼最中の餡は粘りのあるしっかりとしたもの(クラッシュマロン入り)



↓石碑に書かれているうんちくとともにオダサガの人に贈ってみたい。これであなたも「辰街道の人」だ。
▼サウザンロードの相模台まちづくりセンター前にある石碑

読めるだろうか?
う〜む。どことなくもやっとしているが、断つと辰から来ているらしい名前だということはわかった。いつくらいから辰街道と呼ばれるようになったのだろうか。具体的な記述が欲しいところ。→ありました。相模原郷土の歴史研究会のページへGO!


こういった名前の由来のもやもやさや無理矢理感、後付け感が好きだ。
このもやもやさを特に存分に味わえるのが、銘菓を買うと入っている紙に書かれた口上。もちろん、もやもやの少ないちゃんとした由来が書かれている銘菓の口上も多いが(由来系と呼んでいる。たとえば、砂糖の蜜煮に誤って落とした葡萄から着想した甲州銘菓「月の雫」など、ミスが端緒になっているものが特に好き)、やはり真骨頂はその土地の自然や出来事をモチーフにした銘菓の口上。
途中までもっともな話を展開しつつ、最後にものすごく飛躍する。そこがイイ(心意気系と呼んでいる。特にパイなどの洋菓子系に多い。歴史を持たない洋菓子系は飛躍の「抜け感」が◎)。飛躍さ加減にどこか仏教的バイブスも感じる。
何のことかよくわからないと思うので例を挙げてみたい。
カステラ風生地で黄身餡を包んだ新潟県柏崎市の銘菓「柏崎太鼓」の口上。これなんかは心意気系のスタンダード。以下抜粋


━━素朴さと美しい日本海、この番神に古くから伝えられているのが勇壮な柏崎太鼓です。清らかな四季の海でとれる大漁を喜び、漁師達は海の幸、豊饒の海への感謝をこめて太鼓を打ち鳴らし、心ゆさぶる高らかな響きを遥か遠き波間にまでとどろかせたのであります。銘菓「柏崎太鼓」は伝統に生きる太鼓の心意気と祈りを風味にあらわしました。━━


とってもいいですね。口上を読みながら、なるほどなあ太鼓にちなんで丸い形なのかなあと食べるのとそうでないのとでは、その銘菓と土地への理解度に大きな差が生まれるのは疑う余地のないところではないだろうか。と同時に、なんか飛躍してるよな?どこをどう現したのかな?と引っかかる気持ちも。
こういうもんでしょとスルーするのではなく、この煙に巻かれた感を楽しむのだ。
ちなみに、このお菓子は何度もお取り寄せしたくらいとてもおいしく、第22回全国菓子大博覧会で金賞を受賞したほど(わたしはこのお墨付きも好きで、明治から続いている菓子大博覧会で賞を取ったお菓子を旅先で見かけると、好み如何に関わらず購入してしまいます)。
このお店のチーズケーキ風のお菓子「福浦八景」の口上も好き。
以下抜粋。


━━私の耳は貝の殻 海の響きをなつかしむ
フランスの詩人ジャン・コクトオの詩がそのままに鼓動を伝えるような柏崎の日本海。唄で名高い米山がその日本海に裾野を引いて変化に富んだ奇岩、洞窟、入江など海岸自然美を形成しているのが佐渡弥彦米山国定公園の「福浦八景」です。昭和25年、日本観光地百選海岸の部に第10位で入選するなど、広く全国に知られる景勝地にちなんで造りました。━━


やはり洋菓子系、最後の飛躍の突き抜け感がとてもいい。とにかくちなんだんだな、と思うしかない。
冒頭、フランスの詩人の詩が唐突に出てくるが、それはこの「福浦八景」にはフランスのキリーのクリームチーズが使われていることに関係すると思われる。と言われても唐突なのに変わりはないよと思われるかもしれないが、決してその場のノリだけではないということは伝えておきたい。


さて、今回紹介した銘菓「辰街道」であるが、箱で買ったことがないので口上が書かれたものが存在するのかどうかはわからない。
ここまで口上について書いてきておいて辰街道の口上をお見せできないのは心苦しいので、その代わりと言ってはなんだが、オダサガ界隈で見ることのできる煙に巻かれた感ありありの口上を紹介したい。
それがあるのは相武台前にある回転寿司チェーンの「魚屋路」。
その店内の壁に書かれている店名の由来も、実にもやっとしていていい。

以下全文引用。
「日本最古の温泉と言われるのが、兵庫、六甲山裏の有馬温泉
江戸の昔から、行商人たちが神戸、深紅の浜でとれた魚を背負って、この険しい六甲の峠を毎日越えました。新鮮な魚を有馬温泉に運ぶためです。
この道はいつしか、魚屋路(ととやみち)と呼ばれるようになりました。
朝市で仕入れた魚なら、急げば昼には届けられます。きっと行商人たちは小走りに急いだことでしょう。
有馬にいる客人たちの晩餐に、すばらしい灘の魚介を間に合わせるために・・・。
〜客人をもてなすために、美味を求めて馳せ、走る〜そんな願いをこめて、「魚屋路」と名づけました」。


来店する度、読んでしまう。往時が目に浮かぶようだ。
ところで、魚屋路の店舗は埼玉・東京・神奈川・山梨にしかない。
この煙に巻かれた感がたまらない。


【店主都合による突然休】なし
【待ち時間】なし
【利用例】麩まんじゅうや水まんじゅうが好きなので夏場が多い
【要望・その他感想】
とよだやのお菓子は「むかしむかし」と「ざまっ子」がぜんぶで17ある座間市の推奨品に指定されている。
細かい話なのだが、この「むかしむかし」、イントネーションはまんが日本昔話市原悦子のような「むかーしむかし」と同じなのだろうが、どうもわたしの中では西川のりおのギャグ「とてもとても」のイントネーションになってしまっている。
【場所】座間市相模が丘4−23−6 TEL046−251−3026
もちろん辰街道沿い。小田急相模原駅南口を出てそのまま線路沿いに右へ。ミスドの角を左へ曲がりココイチ前の信号を右折、突き当たり(焼き肉の松実苑がある)を左へ。一つ目の十字路を右折し、ファミマが目の前の丁字路を左折。そのままずっと直進する(これが辰街道である)。左手にあるコープを過ぎ、北地区センターを過ぎ、信号を越えてすぐの右側。
【営業日・時間】火休 8:30〜19:00
【URL】http://www.0462.net/shop/toyodaya/index.html?CATEGORY=21